SHOP BLOG 久利波商店通信

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流行ってほしくない服

_2018.01.25

今回は、流行ってほしくない服についてです。

1. BARACUTA G9
2. INVERALLANアランセーター
3. Schottピーコート
4. GLOVERALLダッフルコート
5. DANNER LIGHT&マウンテンライト
6. ALDEN405
7. Willis&Geiger A-2

SNSが発達する以前は、メーカーは2年も前からトレンドを企画して、年に2回の展示会で小売店に発注させるという、比較的のんびりとしたサイクルでした。
パリコレなどの、色、素材、デザインをヒントにしてちょっといいブランドが作り、それを落とし込んだ万人が着れる売れるデザインを作り、スタイリストが雑誌やTVでモデル、有名人に着せ、仕掛けて行き、翌年それをお安い価格のメーカーがパクるというような流れだったと思います。

ところがSPAモデル(期中に短サイクルでモノづくりができる態勢の、製造して直営店で販売)ということが生まれると、パクリ品も数か月で店頭に並ぶようになりました。多くのメーカーも展示会の頻度が増え、年4回プラス期中展を行っていきました。

SNSでの拡散も拍車をかけ、「THE HUNTER」のマックイーンきどりでMA-1を着て出かけた日曜日のショッピングモールで、なんちゃってMA-1風を着た女の子に何十人もすれ違うという恥ずかしい現象が起きました。
MADE IN FRANCEのビンテージのスタンスミスを履いていると、なかよしおそろのJK3人組に、『やば、一緒じゃん』と言われる時代です。ニューバランスもMADE IN U.S.AとENGLANDのぽってりとした576だけで充分です。老若男女履きすぎです。
悲しいかな、着られなくなるものが多くなりました。

上にあげた7項目はどれも男臭いものばかりです。しかし安心はできません。すぐにふにゃふにゃの素材とへんてこなデザインにアレンジされます。(もはや売っているアイテムもありますが・・・) けして高い値段のものがいいとは限りませんが、オリジナルを知らずに着て、永遠の名作をぶちこわしにしてしまうのは耐えられません。

英国のブレア元首相はChurch’s(チャーチ)の靴チェットウインドを愛用していましたが、18年間履き続けたそうです。ちょっとお高いその靴を、記者につっこまれると、『安い靴は不経済だからね』と答えたそうです。ファストファッションを否定するわけではありませんが、使い捨ての服より長く着れる服への賢い選択をしたいものです。
もちろん、高ければいいというわけではないです。メルカリやブランディアのお世話にならず、長年愛用できるものを選びたいと思います。

ここで紹介するアイテム、ダッセ!とか、流行おくれという批判もあるでしょう。けれど名品はいつか必ず、繰り返し注目されます。音楽と一緒で、誰か掘り出す仕掛人がいます。流行に惑わされず、しかし流行を横目に見ながら、いいタイミングで着用しましょう。アウト・オブ・ファッションを極める達人になりたいものです。

1.BARACUTA G9
G9といえばスティーブ・マックイーンです。いや高倉健さんだねという人や、比較的新しいとこではジェイソン・ステイサム、ハリーポッターの主人公あたりでしょうか。一見オヤジ臭くあまり特徴のないスウィングトップなので、目立ちはしないのですが。
デザインの特徴は、まず裏地のタータンチェック、フレイザータータンという名前のチェックです。ディテール的にはドッグイヤーの襟、リターンドフラップポケット、後ろ身のアンブレラヨークというところです。

 

2.INVERALLANアランセーター
アランセーターはフィッシャーマンセーターの一種で、アラン島の漁師の着ていた海水をはじく未脱脂のセーターが語源と言われていますが、私は信じていません。仕事しにくいです。きっと大手ニットメーカーの売るためのお話づくりと思います。
糸はちょっと匂いますが、未脱脂のローゲージでハンドニットの凹凸の大きなものが好きです。ペタンとしたものはダメです。
インバーアラン社はアラン島にはなく、アランセーターの名前とは無関係です。しかしクオリティが高く毛玉もできず、ピーターストームのセーターと共に、ほつれを修理しながら長年愛用してきました。

 

3.Schott ピーコート
Pの語源は、オランダ語からきているとか諸説ありますが、海軍のpurserだとずっと思っています。C.P.Oジャケットがチーフ・パーサー・オフィサージャケットというように。
またもや「砲艦サンパブロ」のマックイーン!!クールですね。
Pコートは国内外のメーカーが作っていますが、なぜあえてSchottかというと、まず適正価格で買えることです。高すぎるピーコートはいりません。(たまには上野に行きましょう)
そしてなんといっても、再生圧縮ウールのくそ丈夫なことです。毛玉はもとより表面なかなか荒れません。着用すると両腕がハの字になるくらい硬くて厚いメルトン地です。
Schott740を着てバイクで派手にこけたとき、破れもせず、体に擦り傷もありませんでした。(鎖骨は骨折しました(笑) とにかくタフで頼れる奴でした。
錨のマークのボタンは左右両合わせの前立て、(風向きどうのこうの)、幅の広いハーファーカラーという名の襟、脇の高い位置のハンドウォーマー、動きやすいセンターベンツなどのディテールです。

4.Gloverallダッフルコート
ピーコートがアメリカ海軍のイメージならば、ダッフルコートはイギリス海軍ですね。
「第三の男」のトレバー・ハワード、「愛の狩人」のアート・ガーファンクル、ジャックニコルソンなど、一見かわいいデザインですが、いかつい人が意外と似合います。
厚手のメルトン地(52クロス)一枚仕立て、ウッドトグルと麻のループの585、水牛トグルと本革ループの512、少し細目でシャープな920などのモデルがあります。

5. DANNER LIGHT&マウンテンライト
世界の果てまで行くときに、どの靴を履くかと聞かれたら、ダナーライトを選びます。
冬温かく、GORE-TEXは多少の雨も浸みてこず、タフな靴です。さすがに夏場はしんどいですが。
欠点としては、一旦水没するとずっと足が濡れたままになったことがあります。
まずめったにないことですけれど。

マウンテンライトは、Dカンのデザインが本気すぎに感じて、山で履けよ!!と思い、始めなじめない感じがあったのですが、だんだんと好きになり、今では最高に好きです。時間とともに良くなっていきました。

A・・まーとで売っていてショックを受けたことがありました。すぐ、安くでくりそつなコピーをHAW・・・・から出すだろうなと心配しました。
今のところDANNERはMADE IN USAしかないので良いのですが・・・REDWINGみたいにコピー品の嵐にならないことを祈ります。

6.ALDEN405
オールデンはやっぱりコードバンの990やチャッカブーツの1340は間違いないでしょう。
吸いつくような履き心地のモディファイドラストのVチップはカッコいいのですが、幅広甲高の私の足にはバリーラストがなじめます。とにかく型数のバージョンも多くとんでもないマニアの方もいらっしゃいます。

HAWAIIのLeather Soulで店員さんの視線を気にしながら、(ふところ寂しいから、今回見るだけね、と思いながら)あれこれ物色するのはつらかったです。英語もろくろく話せないので、『ジャストルッキング サンキュー』だけではね(苦笑)
とにかく接客業が長いくせに、接客されるのが苦手です。一流店はとくに脇汗もんです。
店員さんと仲良くなり、いろいろ話せるだけの商品知識とジョークの一つも言える英語のスキルが欲しいものです。

さて本題です。ALDEN405 あれです!インディブーツです。冒険の旅ができます。ときどきサソリとかはいってるやつです。”世界の果てまで行ける靴”パート2です。オースチンカーフは雨の日もOKです。いやジャングルも砂漠もいけるでしょう。行かないけど。

7.Willis&Geiger A-2
前出のハリソン・フォードがインディ・ジョーンズでA-2着ていると思ってましたが、袖口がニットリブではないので440ぽいですね。「大脱走」のマックイーンはさすがかっこいいんですが、肩のエアフォースマークがない物のほうが、何気なくいろんな着方ができるので好きです。

Willis&Geiger社のホースハイドのA-2は、長いことバッキバキで体になかなかなじまず苦労しましたが、馬革だけに暴れ馬を押さえつけるつもりで着ていました。牛革やしなやかなゴートスキンのものより、気合がはいりました。
リンドバーグやマッカーサー、ヘミングウェイと色々かかわってきたウィリス・アンド・ガイガー、興味がある人はチェックしてみてくださいね。

まだまだ気になるものはあるんですが、(ムートンのB-3など・・ミリタリー多すぎかも)そのうち掘り起こしていきたいと思います。

なんかスティーブ・マックイーンまつりになってしまいましたが、身長も177cmとアメリカではけして大きくなく、人間味のある演技に共感します。「パピヨン」での自由のためにはくじけない、あのしぶとさは忘れません。タイトルを (スティーブ・マックイーンと流行ってほしくない服) にしたほうが良かったかも。

それに、はっと気が付いたんですが、もう長いこと服屋じゃなかったんですね。当店はアンティークショップでした (笑)(それも駆け出しの)

アメリカンアンティークやビンテージ家具、インダストリアルライトなどの男前インテリアと、男前な洋服は、けして無関係ではないですもんね、それがライフスタイルってもんです。お部屋かっこよくても、服のセンスがダサダサだとがっかりです。

服に関しては、その道のプロに怒られそうなんであまり深く突っ込まず、さらりと紹介しました。
間違いがあったらすみません。流してください。広く浅くがモットーなんで・・・いくらでもうんちくは調べられる世の中ですからね。

それでは・・・・しかし来年何が流行んのかなーー

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